その手をぎゅっと掴めたら。
「ごめんね、久しぶりにおじいちゃんの顔を見たら、言葉に詰まっちゃった」
「そっか、そうだよな…」
祖父の隣りに立つ青年は、眼鏡をかけてあどけない表情で笑っている。
「葉山くん、やっぱり今日は観覧車は止めにしたい」
「…うん」
すっと葉山くんは目を閉じた。
「また日を改めてでもいい?」
「もちろん。乗る気分で無くなったよね。ごめん」
ゆっくり開いた目は申し訳なさそうに私を見る。
「ううん。こちらこそ勝手でごめんね」
私にはーーやることがある。
葉山くんのために、まだやれることがある。
全てのピースは揃ったのだから。