その手をぎゅっと掴めたら。

私のことを見ていてくれたんだ。

身体がカッと熱くなる。
夏の暑さのせいだけでないことは明白で、葉山くんの言葉にいちいち反応して心が動く。

このままじゃ、私ーー葉山くんを好きになってしまう。


「ありがとう。今はクラスに友達もいて、葉山くんもいて。幸せだよ」


「そう。俺は君から離れないから安心して」


葉山くんの特別な女性に私が似ているからではなくて、ひとりぼっちの私を可哀想と思ったから告白を受け入れてくれたのだろうか。聞きたいけれど、聞けない。


もう少し葉山くんとはこのままでいたい。

だから余計なことを言って、今の関係を壊したくないのだ。


私も、葉山くんから離れたくないよ。

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