その手をぎゅっと掴めたら。

高校2年生になり、初めて友人ができた。

2年生?今更じゃん、と突っ込みたくなるだろうが、1年生の時はクラスに馴染めずにお昼ご飯を一緒に食べる仲間すらいなくて、青春とは程遠い高校生活を送っていた。

中学の頃に一部の生徒からいじめのような行為を受けたことがきっかけで、友達の作り方が分からなくなったせいだ。


そんな冴えない私に転機が訪れたきっかけはクラス替え。

名簿順で座席が決められ、たまたま近くになった"凛ちゃん"が声をかけてくれたのだ。



「私、凛(りん)。初めてしゃべるよね?宜しく」


「さ、佐野 真奈(さの まな)です。こちらこそ宜しくお願いします」


くるくると毛先をカールさせ、濃すぎるメイクが大人びた印象を見せる凛ちゃんはいまどきの高校生という風貌でとても眩しい。

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