その手をぎゅっと掴めたら。
手際良く亜夜が作ってくれたオムライスを頬張りながら、今日のことを話す。亜夜には考えずになんでも話せてしまう。
「へぇ、良いところあるじゃん。てか、相合傘って?それって、北斗は真奈のことが好きなんじゃないの」
「ただ私に元気を出して、って描いてくれただけだよ」
ふんわり卵の上にケッチャプで流行りのキャラクターが器用に描かれている。もったいなくて、食
べにくい…。
「もういいんじゃん。嘘とか偽物とか。普通に付き合いなよ。気にしてるのは真奈だけだよ」
「そうなのかなあ」
「後さ、お弁当のことも凄い良いと思う。彼女以外の手作りは食べないってことじゃん。北斗は硬派なんだね、ちょっと見直した」
「うん。このまま一緒に居たら、好きになりそう」
青山さんに向けた言葉を再び吐き出す。
「いい男が近くにいて、ましてや彼氏で、好きにならない方がどうかしてるよ。デートにでも誘ってお弁当作ってあげな…うん、それがいいね!」
「でも…」
名案だと手を叩いた亜夜はオムライスを頬張り、近くにあったノートパソコンの電源を入れた。
「デートの場所、探そ」
行動派の彼女は早速、検索エンジンに「初デート オススメスポット」と打った。
初デート?って?私から誘うの??