悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。


むりむりむりむり。


時間ギリギリで廊下にはほとんど人がいないとはいえ、

すずちゃんとはまだしも、わたしと話してるのを見られるのはほんとに困る……!


ただでさえライバル同士で名高い漣くんとわたし。

そんなふたりが一緒に登校してきた、なんて絶対勘ぐられる!


「あれ?
おはよう、向坂」

「おっ、おはよう江川くん……」


「なんか疲れてる?
大丈夫?」


「へ、へいきです……」


走って教室に行けば、他のクラスに行っていたらしい江川くんと入口でバッタリ会った。


「あれ、七流と小山まだ来てない?」


「ああ、うん……。
さっき玄関で会ったよ……」


「そうなんだ」


漣くんから逃げるために走ってきたとはいえない……。


「そ、そういえば昨日、すずちゃんとの勉強会はどうだった?」


「ん?テスト勉強も進めれたし、小山といろいろ話できてよかったよ」


「そっか……って、え!?」


「なんてね」


唇に人差し指をおいて、「内緒だよ」と言わんばかりに微笑む江川くん。


「えっと……ええっ!?」

「ふふっ、向坂慌てすぎ」


こ、これはまさか?

ふたりはやっぱり……


「あ、あのね江川くん、」


「ん?」


「もしかして、すずちゃんのこと……」


それを聞きたくて江川くんの耳元に口を近づけたとき。


「岬」
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