悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。
「っ、かわいくなんか……」
「かわいいよ。
めちゃくちゃかわいい。もう可愛すぎてどうしよ」
「っ、漣く……っ」
もう、やめて……。
引いたはずの熱がぶり返しちゃうから……っ。
髪から背中に手がすべって、ぎゅうっとされた。
ううっ、心臓の音、聞こえちゃうよ……。
「朝もどんな反応すんのかなーって思って話しかけたら、めちゃくちゃ動揺してるし?」
「うっ、」
やっぱりバレてた……!
「最近、岬との距離はやけに近いし?」
「えっ……?」
「小山が俺たちのこと知らないってわかってても、日直の仕事の手伝い、俺に言ってほしかった」
どういうこと?
その声にふっと顔をあげようとしたけれど。
ぎゅうううう。
「ぐ、ぐるじい……漣くん、」
上を向くことを許されない。
「だって岬と話すとき、めっちゃ近いじゃん。俺といるときは逃げるのに」
「うっ、それは……っ」
だって漣くん、かわいい、とか。
さっきみたいに、すき、とか。
聞いてるこっちがいたたまれないくらい、はずかしいことばかり言うんだもん……。
正直、逃げ出したいくらいに。
変にくすぐったくて、頬も熱くなって。
漣くんに顔を見られるのがいやだって思っちゃう。
「海凪。聞いてる?」
「聞いてるよ……っ」
やっと離されたと思ったら、視界に飛び込んできたのはみるからにムスッとした顔。
「漣くん、もしかして……妬いて、るの……?」
「っ、はぁ……なんでこんなときばっか鋭いかな」
「えっ、えっ……?」
「そうだよ。
前にも言ったと思うけど、好きでたまんない彼女の目に他の男が映り込むだけでも無理」
「っ……」
「笑顔とかも俺だけに見せてほしいって思うし、海凪は俺のもんだしっていつも思ってる」