悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。


それから4階まで上がって、視聴覚室の前で辺りを見回していたら。


「おそい。待ちくたびれたよ」


中から手が伸びてきて、ぎゅうっと抱きしめられた。


「えっ、も、もう来たの……!?」


「うん。早く海凪にふれたかったから」


我慢できなかった、なんて。

耳を掠めた息が熱い。


「え、江川くんたちにはなんて言ってきたの?」


鼻をくすぐるマリンの香りとか、力強い腕とか。

頭がショートしそうになるのを必死に堪えて、問いかけた。


「んー……適当に。
それより」

「て、適当って……っ、ん……」


重なった唇がその先を言わせてくれない。


「意識、してただろ?」

「え……?」


「図書室で長机見てたし。あの時のこと思い出してんだなーって思ったら、かわいすぎてつい意地悪したくなってね」


「っ!!」
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