悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。


「ああいうやつらって東宮にもいるんだ」


「確かに。
まあでも、あれ以上踏み込んでこなかったのは、あっちも触れてほしくないことしてるんだろ」


江川くんと漣くんが話してる横で。


「え、江川……」


「行こっか、小山。ちょっとお説教しなくちゃね」


なにか言おうとしたすずちゃんだったけど、満面の笑みを浮かべた江川くんに押し黙る。


「海凪」

「っ、漣く……」


ふたりとは反対方向。

グイッと腕を引っ張られて、漣くんはスタスタと早足で歩いていく。


カフェがあった大通りから、人気が少ない路地裏。

陽が完全に落ちかかって、空が夜へと近づいていく。


「さ、漣く……っ」


話しかけてもなにも言わない漣くん。

それから少し歩いて、周りからは完全に人気がなくなって。


車の音や人の声も、遠くに聞こえる場所まで来ると立ち止まった。


「さ、漣くっ……っ、んんっ!?」
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