悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。


「顔、あっつい。
めまいとかしてない?」


「だ、大丈夫……」


体がピタッとくっついて、その手が腰に回って。

もう片方の手は擦り寄るように、わたしの頬に当てられた。


「ごめん、余裕なくて。
でもあと一個だけ」


その手が頬をすべって制服のシャツのボタンを3つほど開けられて。


「やっ、さざなみく……っ」


「声、めちゃくちゃかわいい」


腰のラインをなぞる手にビクッとした瞬間、またあの痛みが落ちてきて。


「海凪……」


ぎゅうっと包み込むように抱きしめられた。


「漣、くん……」


「海凪……」


名前を呼べば、名前を呼ばれる。

その声はさっきみたいな低い声じゃなくて。


いつもみたいに、とびきり優しくて、落ちつくような、安心する声音。
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