悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。
「でも、黙って店を出たのは怒ってるから。あんなクソ男に大事な彼女、さわられそうになって、まじで学校のこととかぜんぶ忘れてぶっ飛ばそうかと思ったし」
「ご、ごめんなさい……」
「ゆるさない」
「うっ、なら、どうしたら許してくれる……?」
漣くんの言い分はもっともだ。
前もってお店の前に着いたら連絡するように言っておけば、漣くんがお店に入ることも、声をかけられることもなかったわけだから。
「なら……ぎゅーするとき、必ず俺の背中に腕、まわして」
「えっ……!」
「俺はしてほしいと思ってるけど、シャツ握るのがせいいっぱいみたいだし。それも十分かわいいけど、少し欲張りになってもいいよな?」
「え、えーと、それはつまり……」
「こんな風に」
「っ……!」
「ぎゅーするときは必ず俺の背中に腕まわして。俺ばっかがしたいみたいで嫌だから」
「で、でもはずかしいよ……」
「うん。
でも海凪とはできるだけくっつきたいから、今日から実践してね。これがさっきの許す条件」
ううっ、なにも反論できない……!
「はい、じゃあ、ぎゅーっとして」
漣くんの腕に力がこもったから、わたしも真似して力を入れてみる。
「ん、めちゃくちゃすき。
海凪、すきだよ」