悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。


自分じゃないみたいな声にカッと全身が熱くなって。

「めちゃくちゃかわいい」


ふっと笑う声も、恥ずかしさに拍車をかけるだけ。


「向坂。付き合ってる人は」


「いません……っ」


「好きな人は」


「いないですっ」


質問に答えるだけなのに、なんでこんな恥ずかしい思いをしなくちゃいけないの。


早く離れてほしい。

その一心で答えたのに。


「こ、答えたんだから離して──」

「やっぱやめた」


「は……」


「嬉しすぎて、もっと離せなくなった」


弾むような嬉しくてたまらないというような声のあとで、クンっと優しく手を引かれて。


「っ、漣くんっ」


ぎゅうっと包み込むように抱きしめられた。

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