悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。
──────────


「さ、漣くんっ……!
東屋に行くんじゃっ……」


「行かないよ。
行くのは俺の家」


!!?


東屋がある公園まで来たのに、漣くんはわたしの手を握ったままスタスタと通り過ぎていく。


「はい、着いたよ」


それからしばらくして着いたのは。


「え、ここ……何階建て?」

「30階」


30階!?


「ほえ……」


見上げるほど高いタワーマンション。

エントランスにはコンシェルジュの人がいて、中も広くて、ホテルみたいな内装。


「海凪、行くよ」

「あっ、は、はい……!」


「また敬語になってる」


ふっと笑った漣くんだけど、つないでいた手は離されて、腰に回って。


『逃がさないよ』


そう言われてるみたいで、何も言えなくなってしまう。


「部屋、ここね」


着いたのはなんと最上階の30階。


「お、おじゃまします……」

「誰もいないし、帰ってこないから、そんなに萎縮しなくて大丈夫」
< 233 / 308 >

この作品をシェア

pagetop