悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。
「ちょっと江川、どういう意味……」
キーンコーンカーンコーン。
「おっと、チャイムだ。
じゃあ、ふたりとも、また」
「ちょっと江川!?」
スキップでもしそうなほど軽い足取りで席へと戻っていった江川くん。
「いったい、なんだって言うの?」
「ね……漣くんにも関係、あるみたいだし」
チャイムが鳴ったことでバタバタしている教室内。
どさくさに紛れて漣くんを見れば。
『お、は、よ、う』
教室内ってこともあって無表情だけれども。
口パクのあとで、机の下でひらりと手を振ってくれて、また胸がキュンとした。
『スマホ、見て』
スマホ……?
まだ先生が来てないことを確認して、こっそりカバンの中でスマホを見れば。
『昼休みの、俺も行くから』
その一言だけが来ていて。
「はーい、授業始めるよー」
その後すぐに先生が入ってきてしまって、漣くんを見ることはできなかったけれど。
あれ……?
浬々ちゃんがまだ戻ってきてないことだけはわかった。