悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。


「好きな子守ろうとして、余裕なくして、かっこ悪いとこ見せて。挙げ句の果てにはその好きな子に説教されて」


「うっ……」

「でも、嬉しかった」


「えっ……?」


嬉しい……?

同時に、コツンとおでこがくっついた。


「女の子に説教されたのなんて始めてだったから、初めて海凪としゃべった日のこと思い出したよ」


切なげに揺れた瞳は、もうどこにもなくて。

そこにはただ、やわらかい笑みと、甘いまなざしがあるだけ。


「あのときの海凪、俺に言ったんだよ。名前を呼んだ俺に、なにか?って。しかもその後で、いつも嫌な顔してるけど……とか」


ぜんぜん覚えてないけど、わたし、そんなこと言っちゃったんだ!?


かんぜんに黒歴史……っ!


「さっきもさ、怒ってくれたけど、また好きが増えただけだった。この子は、海凪は、そのまんまの姿で、まっすぐ接してくれるんだって」


「七流くん……」


「自慢でもなんでもないけど、俺に声をかけてくる女子はみんないい顔をしてきた。だから、海凪が初めてだった。俺に対して思ってること、ありのままを教えてくれたから」


他の女子だったら、たぶんキレてる。

なんて七流くんはクスッと笑う。
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