悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。
「むりむり!
変に緊張して話せないしっ」
ランチバッグからお弁当を出しつつアドバイスしてみたら、全力で拒否られた。
「それにさ、見てよあれ」
ふたりでいただきますして、そちらを見ると。
「女の子がいっぱい……」
「そうそう。漣と違って女子に優しいから、放課後も色んな子と勉強してるよきっと」
漣くんはいつもそっけないけれど、江川くんは一つ一つ丁寧に答えている。
容姿も整ってるから、尚更人気なんだろうなぁ。
「でも……」
「そんなことより!今日の放課後ひま?」
「えっ、放課後……?」
「うん。海凪に教えてほしいとこ、結構あって」
「江川くんに聞けばいいのに……」
「あいつのことはどーだっていいの!
あたしは海凪がいい」
放課後は漣くんと会う約束がある。
でも今は……
「分かった。じゃあ残って教室でやろっか!」
「やった!海凪ありがと〜!!」
口いっぱいにパンを放り込んで嬉しそうに笑うすずちゃんだけど、
どこか落ち込んでるような、悲しい色が見えた気がして断るなんてできなかった。