月の光に響く時
恐怖に支配されつつも、何故か私は蔵が気になって仕方が無かった。


一体何が起きているんだろう。

おじいちゃんは何か知っているのかな?

それから何度も短刀が脳裏に浮かんできて、私はいつの間にか蔵へと向かっていた。

扉を開けて、近くにしまっておいた短刀の箱を手に取った。


「ただの骨董品にしか見えないんだけどね」


蓋を開けると、錆びた短刀が姿を現す。


「え?」


突然辺りが光ったので見回した。

どうやら雲が抜け、月の光が辺りを照らし始まった様だった。

今日は綺麗な満月だ。


「!?」


言葉を失った。

目の前にある短刀の錆びが、風に吹かれて消えて行く。

さらさらと浄化されるように。

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