月の光に響く時
ビュウッ

と強風が私を煽った。


「見つけた・・かぐや」


「へ?」


その声に私は家の屋根をに誰かが佇んでいるのを目撃した。

月に照らされ、その逆光がさらに恐怖を掻き立てる。


だ・・誰・・!?夕方の人と違う!!


男の髪は月に照らされ金に輝く。

よく顔は見えないが、普通じゃない事はわかる。

大体どうやって屋根に登ったのか。


「かぐや」

「ひっ」


男は私の前に降り立ち、桃色の瞳でジッと見つめてきた。

怖い・・怖い怖い怖い~~!!!


「ひ、人違いです・・私はそんな名前じゃありません」


「いや、間違いない。お前はかぐやだ。俺が間違えるわけがない」


突然見知らぬ人にそんな事言われても。

私は必死に訴えた。


「いやいやいや、本当に!私は沙夜!橘沙夜っていう名前だし」


「・・・さよ・・」


「そうです!!だからあのっ・・・帰ってください!!」


逃げようとした私を否定するかの様に、男は私の手をぎゅっと握る。

凄い力だ。


「この短刀に御石。どっからどうみてもお前はかぐやなんだが」


「そ、そんな事言われても・・わけわかんないしっ」


半泣き状態な私だ。


どうしようどうしよう、誰か助けて!!
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