月の光に響く時
「いや、ごめんなさい・・理解出来ないですっ」


即座にそう言ってひれ伏してしまった。

まだ体がブルブル震えてる。

涙も止まらないよ。

だってこんな状況、アニメの世界でしょ?

リアルにあるハズないのに。でも膝痛いし、夢でもなさそうなんだけど。

とにかく理解出来ないし、したくもなかった。


「え?もしかして全部忘れてます?その感じだと俺達の事覚えてないっスよね?」

と少年は言った。


「は、はい。知りませんし・・一体何が目的ですか?」

「あんたは生まれ変わりって事ス。月の姫様の。だから俺達が来たんス」

「はい?」


きょとん、としたわ。

何言ってるの?月の姫?


「ま、何言っても今は無駄なのかなー?桜鬼様」

「面倒だな・・困る」


ムスッとした顔で金髪の男は言った。

とても不機嫌そうにそっぽを向いている様に見えるけど、刀の切っ先は目の前の長髪の人にしっかりと向いている。

戦闘態勢は解かれていない。

その場にいた4人全員だ。


「それは好都合」


刀を構え直した長髪の一人の男が言った。


「今度こそ、頂く」

「させねぇ」


ギラリと二人の目が光る。

そして次の瞬間。


「失礼」


ボンっ!!!

少年に皮肉を言っていた男が突然煙幕の様なものをまき散らした。


「何!?」


と言った私の記憶はこれまで。

どうやらその煙には痺れ作用が含まれていて、私はまんまと吸ってしまったらしい。


そのまま意識を失い、4人のうちの誰かに攫われてしまった。
< 23 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop