月の光に響く時
硬直した。

一瞬の出来事で何が起きたのかわからなかった。

しかも不意打ちのキスだ。

抵抗する余裕もなかった。

驚いて目を丸くするくらいしか出来ない。


「嫌がらないんだな?1000年前とは違う」

「えっ・・あ・・いや・・です・・そのっ・・」

「フフ・・愛い」


口が強張って上手く拒否出来なかった。

なんだろう?不思議だ。

この人、本当に私を愛おしそうに抱きしめる。

殺意を感じないし痴漢の様な怪しい目つきではない。

そんなに好きだったんだろうか。前世の私を。

なら聞いてみたい。


「あ、あの・・私はなんで貴方を封印したんですか?」


その質問に律鬼さんは苦い顔をした。


「そうせざるを得なかった・・のだ」

「どうして?」

「・・・」


その問いには答えてくれなかった。

気まずい空気になってしまった。

今すぐに逃げ出したい。

急に豹変したらどうしよう。
< 28 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop