月の光に響く時
「封印が溶けた今、他の鬼は地上をはびこるだろう。鬼の糧は人間だからな」

「え!?人を食べるの!?」

ゾクゾクゾク

一気に恐怖が私を襲った。


「俺達は人間の精気を吸い取る。加減も出来る。
だが、他の鬼はそのまま血肉を食らうものもいる」

「血・・肉・・」


そんなおぞましい事がこれから始まるの?

背筋が凍った。


「そんな・・そんなの信じられない」


そんな事聞いたら恐怖で体がかたかたと震えてくる。

だけど同時にぴんと来てしまった。勘が冴えた。


「もしかして、それを阻止するために前世の私は存在したの?」


「・・・・」


信じられない。

だけど、律鬼さんが目を逸らしたら答えだと思ってしまう。

前世の私がその鬼たちを封印したんだとしたら、これから私は狙われる?

さっきみたいに襲われるって事なの?


「だから行くな。この城なら安全だ。俺はお前に酷い事は決してしない」

「・・そんな」


愕然としてしまった。

それが本当なら私の人生は終わったも同然だ。

ここが安全だとしても、一生拘束されままたという事だ。
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