月の光に響く時
奏は淡々と続ける。

チクチクと棘のある言い方だ。


「本来ならば鬼の一族の繁栄の為、即刻死んでいただくべき存在」

「!」


ドクッ・・バクバクバク・・

動悸が激しくなった。

いちいち恐ろしくて体がビクビクと反応してしまう。

見るからに奏は私の存在を嫌っている。

だから目は一切笑ってないんだ。


「貴女と我々鬼は因果の関係にあります。ですが、律鬼様の寛大なお心で命がある事をお忘れないように」


つまり私は生かされている。と言いたいんだろう。

鋭い目つきが私を刺す。

だくだくと恐怖で冷や汗が滴る。

私は青ざめてしまい、俯いて奏から目を逸らした。


「よせ奏、脅かし過ぎだ。こんなに怯えている」


律鬼さんは私の背中を落ち着かせようと擦ってくれた。


「・・失礼いたしました」

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