月の光に響く時
少し時間が経って、急に律鬼さんは衣服を脱ぎ捨てた。


「な・・何を!?」


「見ろ。もう治った」


「え!?ほ、ホントだ!!凄い・・ですね」


信じられなくて食い入るように見てしまった。

しっかりと傷口が閉じている。

うっすらと斬られた線だけが残っているくらいだ。


「鬼って・・凄い・・」


「凄いか・・そうか。フフ・・」


ちゅ。


上機嫌なのか、笑いながら額にキスをされてしまった。


「や、やめて下さい!そういうのはっ」

「お前、さっきまであんなに心配していた癖に」

「も、もう元気ならいいでしょう!?離れてください!!」

「・・猫の様にコロコロと態度を変えるな」


別に心を許したわけじゃない!

誰かが目の前で倒れていたら心配するなんて普通でしょ!


律鬼さんは身体中に付いた血を全部ふき取ると、長い髪をひとつに束ねた。


ドキン


何!?無駄にセクシーなんですが!!!

すぐに目を逸らした。

男に免疫がない私には刺激が強すぎる。


「どうした?」

「どうもしません!!」

「?」



律鬼さんは首を傾げながら私を見つめた。

でもどこか少し楽しそうだった。


なんというか、ワザとなの?

よく見ると顔だちも綺麗な男性だ。

誰もが惚れてしまう様な。

人間をたぶらかす為にそんな容姿をしているんだろうか?

そうだ、きっとそうに決まっている。

と勝手に決めつけた。

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