月の光に響く時
二人で黙々と作業をしていると、おじいちゃんが


「沙夜、今日は部活は行ったのか?」


「行ったよ。もうすぐ大会だから」


「昇段審査も秋にあるんだって?」


「そうそう。とにかく暗記がめんどくさいんだよね。それが一番苦手」


「ハハ、それもまた修業だなぁ。心を強くしなければな。忍耐だ忍耐」


「はいはい。わかってますー」



私は沙夜。高校2年。中学から剣道を初め今も続けている。

勉強は苦手で、体を動かす事しか取り柄がない。

なんで剣道を選んだかと言うと、おじいちゃんが昔やっていたと聞いていたから。

もともと体を動かす事が大好きだったけど、球技はてんで駄目で棒を振ってみたら意外としっくりきたという感じだ。



「おじいちゃんコレ最後」


「おお、ありがとよ」


と私は最後に箱を渡した。

その箱は何よりも一番古びていてボロボロ。

みみずみたいなな読めない字で護符の様なものが張り付けてある。


「それなんなの?」


となんとなく聞いてみた。

< 5 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop