月の光に響く時
「見つけた!!!」


ドサッ!!


私は宙に浮いていた。

正しくは誰かに抱き留められた。


「だれ・・」

痛みで目が開けられない。


「誉(ホマレ)っスよ!紅家の!」

「ほま・・?」

「て、痛そうな傷スね!!すぐに手当てしないと!!」


誉という紅い鬼は黒い翼を羽ばたかせ、勢いよく蒼家の城から離れて行った。


「お願い・・帰して・・」


「ええ?駄目ス。桜鬼様が待ってますよ」


「桜鬼・・」


「そう!少し我慢していてくださいね!!飛ばします!!」


疾風の如く誉は夜空を駆け抜けた。

カラスに化けてずっと蒼家の城を見張り続け、運よく私を見つけたのだという。


私はそのまま抱えられながら紅家の城へと連れて行かれた。

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