月の光に響く時
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「痛った・・い・・」

「我慢我慢」


訳も分からず手当てをされている私だ。

心臓はどうにか元に戻ったけど、その代わりに疲労感が凄かった。

ぐったりだ。


「これで良しと」


肩の傷を丁寧に治してくれたのは誉。

桜鬼の側近だ。

紅家の城にたどり着き、一つの部屋に案内された。


「もうすぐ桜鬼様が来ると思いますよ」

「・・・あ、ありがとう」

「えへっ」


ニカッ

と屈託のないスマイルをくれた。


ちっとも悪い人に見えないし、角が生えてるけど鬼っぽくない。

蒼家の鬼とは雰囲気が違う。


「しかし、相変わらず酷えことするな。奏は」

「相変わらず?」

「昔も姫様に酷い事ばっかりしたんスよ」

「・・そうなんだ・・」


よほど私の存在が憎いんだね。

もう二度と近づきたくない。

本当に殺されるかと思った。


「性格悪いんだよ。生まれつき」

「そだね・・」


鬼にも性格の良し悪しがあるんだ・・。
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