月の光に響く時
「教えてください!私・・意味不明まま、振り回されて・・」


「ああ、そうだな」


くしゃ、と桜鬼は私の頭を撫でる。

あれ・・私、この感覚知ってるかも。

男の人と付き合った事もないのに。

何故か懐かしい感覚に陥った。


「その前にな。敬語やめろ。気持ち悪い」

「え・・」

「昔はそんな話し方じゃなかった」

「そんな事言われても・・」

「俺達は初対面じゃない。今はお前だけが忘れてるだけだ」


ぐっと体を寄せられる。

この人はやっぱり私が前世に好きになった人なのかもしれない。

そう思ってしまうほど私を扱う仕草が自然だった。

慣れている感じ。


「かぐ・・沙夜だったな。慣れねえな・・くそ」


名前を言い間違えて頭を掻いている。

でも、今の私も理解してくれている感じに見えた。
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