月の光に響く時
「家に・・帰りたい・・です」

「!!!」


私の発言は二人の目を見開かせた。


「あんなとこに居たらすぐに他の鬼に殺されるっスよ!?」


「でも・・私は・・こんなの望んでない・・こんな・・人生」


本音がぼろぼろと零れてしまった。

だって、今頃家族はどうしてるだろう?

お母さん、お父さん、それにおじいちゃんも。


「どうやったら、この力失くせますか?出来ませんか!!??」

「かぐ・・」

「沙夜!!私は沙夜です!!こんなの嫌だ。うう・・おじいちゃん・・お母さん・・」


二人から急いで離れてうずくまった。

子供みたいだって言われたって良い。

でも、これが本心だ。

普通の人間じゃないのなら、普通の人間になりたい。

誉は唖然としている。

桜鬼は無表情だ。


「うわ・・・まさかのヘタレ・・スね。桜鬼様」


「・・・」


「昔の姫はもっと凛々しかったス」


「そんなの知らない!私は姫じゃないし、沙夜なの!!」


「あ、はいはい」


訴えは軽くかわされた。

私は私なのに!
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