月の光に響く時
「じゃあ、死ね」


びくん。

まさかの桜鬼の鬼畜発言に涙が止まった。


「死んだらなんにも考えなくて済む」


「な・・」


「だが、それと同時に鬼は地上の人間どもを食らいつくし世界を滅ぼしにかかるだろう。
鬼を止める存在がいなくなるんだからな。それでもいいのなら死ねばいい」


上から見下ろす様に桜鬼は言葉を吐き捨てた。


「お前は力を持っているにも関わらず、誰を救う事も出来ない。
ただガキみたいに喚き、泣きじゃくるだけだ。
誰に何されても文句も言えまい。自分のせいなんだからな」


間髪入れずに淡々とぶつけてくる。


「お前の大事な親?じじい?今からソレが殺されても文句言うんじゃねーぞ。いいな?」


益々口が悪くなってきた。不良みたいな言い方だ。

そして桜鬼はおもむろに私から背を向けた。


「後悔しても遅いからな。お前が大切な家族を不幸にするって事を身をもって知れ」


桜鬼は置いてあった刀を腰に差した。


「ま、まって・・何処行くの!?」

「人間を狩りに行くだけだ」

「!!」


まさか私の家族を!?
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