月の光に響く時
「待って!!」


桜鬼の背中に思いっきりしがみついた。


「・・・」


「駄目!!行かせない!!絶対駄目!!」


怖い。

本当に怖い事ばっかりだ。

だけど、お母さんやおじいちゃんが殺されるなんて絶対に嫌だ。

嫌!!!



ぎゅううっ!!


必死に引き止めようと、私は全力で桜鬼にしがみつく。


「絶対に駄目だから!!」

「・・・ふ・・」

「え」

「ふはは・・それ、全力かよ。よわっ」

「え?」


急に桜鬼は笑い出した。

近くにいた誉は後ろを向いて体をプルプルさせている。

恐らく笑いを堪えているのか?


「え?え?」


「全く・・」


理解出来ずにぽかんと口を開けている私の頬を、桜鬼は抓った。


「いひゃい・・」


「それでいいんだよ。お前は俺にしがみついてれば」


「え・・?」


満足そうにニコリとほほ笑む桜鬼。


「だいぶ性格は臆病になったようだから、少し荒療治しただけだ。嘘だ、死ねばいいなんて」


「なっ!!」


カアアアア///

騙された恥ずかしさが一気に体を沸騰させた。


< 58 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop