月の光に響く時
「これはな・・」


とおじちゃんは壊れそうな木箱のふたを優しく外した。

すると中から錆びた刀が現れた。


「昔から伝わる花嫁道具。短刀だよ」


「短刀?」


「護身用だな。花嫁の身を守る為の道具だ。恐らくは戦国時代・・もしかするともっと古いかもしれん。平安とか」


「えー?嘘だぁ。そんな古い刀なんて宝物じゃん。博物館行きでしょ普通。おじいちゃん骨董品屋に騙されたんじゃないの?」


「いやいや、これは俺が生まれる前からずっとこの家にある。
俺はじいちゃんから、じいちゃんは更にそのじいちゃんから代々受け継がれてきたもんだよ」


「へえ~。でもこんなに錆びてるし、なんの価値もないように見えるけどね」


「お前にはそう見えるかもしれんな」


「うん」


おじいちゃんはゆっくりと蓋を閉めた。


「なんでも、この短刀は竹取物語と関係があったって聞いたんだけどな」


「おじいちゃん、ますます嘘っぽいよそれ」


「それは俺も思う。さ、飯も出来てる頃だろう。今日はてんぷらだって言ってたぞ」


「おじいちゃんの好きなやつね」


二人で苦笑いしながら蔵へと向かった。

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