月の光に響く時
「ん?よお、桜鬼か」


と襲ってくる様子もなく蔵の中から出来てたのはとても体格の良い鬼だった。

鍛えられた筋肉が服の上からでも良くわかる。

頭にはねじ曲がった角。輪郭のしっかりとした太い声。


「豪鬼か。蔵で何をしてた」


「ここにいるって事はお前こそ目的はどうせ同じだろ?」


二人は知り合いなのか、会話が成り立っている。

敵対していない様だ。

残念そうに頭をガシガシと書きながら豪鬼は言った。


「1000年前月の石が砕け散っただろ?それの欠片を探してた」


「確かに、あの時砕けて四方八方に飛んで行ったな」


「ここに手がかりがないかと思ってな・・って、ん?それ・・かぐやじゃねーか」


ビクッ


豪鬼は私を見つけて目を丸くしている。

私はすぐに桜鬼の背後に隠れた。

桜鬼も私を隠す様に手を横に添える。


「転生してここにいる。だが何も知らない。以前の記憶も無いらしい」


「へえ。そりゃおもしれぇ」



と吟味する様にジロジロと覗き込まれる。


だ、大丈夫なの?この鬼は敵じゃないの?


びくびくしていると、桜鬼が私の頭を撫でてくれた。


「俺がいるだろ。安心しろ」


相変わらず凄い自信だ。


「ふうん。顔もかぐやに瓜二つだな。俺は豪鬼。黄家の鬼だ。よろしくな」


「ぅ・・・。」


普通に挨拶してくれても困る。

どう対応したらいいのか分からない。

良い人なのか悪い人なのかわかるハズもない。


とりあえずペコリと小さくお辞儀した。
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