月の光に響く時
「沙夜―!」


すると突然家の中から母が出て来た。

玄関の前まで姿が見えた。


「お、お母さん!?」


無事だった!?嘘!!誉は嘘をついていただけだったの!?


「沙夜!どこに行ってたのよ!?」

「お母さん!!」


私は聞き覚えのある母の声に向かって一目散に走った。

思いっきり誉の手を振り切って。


「あ、姫様!?そんな馬鹿な!!今の声は!!」


全力で玄関に向かった私を誉は冷や汗を流しながら追いかける。

そして叫んだ。


「罠だ姫様!!」



誉の声など私に届くはずもない。


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