月の光に響く時
私をかくまっているおじいちゃんの体が震えている。

そりゃそうだ。この人怖すぎる。

無言でこちらを吟味するみたいに眺めている。

私も頭の中真っ白だ。どうしたらいいかわからない。

もしかすると強盗殺人犯かもしれない。


「沙夜・・動くんじゃないぞ?動いたら何されるかわからん」


コクリ。

恐怖で声が出る訳もなく、私は首を一度だけ縦に振っておじいちゃんの服の袖をつかんだ。


「・・・」


しばらく硬直状態が続いたが、それを打ち破ったのは私が持っていた短刀の入った箱だった。


カタカタと勝手に動いている。


「え?え?」


訳が分からず戸惑うことしか出来ない。

すると男はおじいちゃんの腕を掴む。


「むっ!!」


バンッ。

一瞬だった。


おじいちゃんは凄まじい力で突き飛ばされた。

幸いにも庭に植えてあった植物がクッションになってくれたみたいだけど、それでも動ける訳がなかった。


「さ・・よ」

「おじいちゃん!!」


ヤバい・・ヤバい・・ヤバいヤバいヤバい!!!

殺されちゃうっ!!!?


男は私の目の前に立った。

それから鋭い目で私を見つめている。
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