月の光に響く時
むせながら怯える私の背中を、律鬼さんは優しく撫でる。
「奏がすまなかった」
恐怖で声がでない。
言い返せない。身体が震えて力が入らない。
律鬼さんは何度も拭ってくれた。私の涙が零れ落ちる度。
でもそれすらも私にとっては恐怖に感じた。
「やはりお前にとって、鬼は憎い存在か」
「・・・」
「昔から変わらない事なのか?」
「・・・」
なだめる様に静かに言った。
「俺は鬼である事を呪いもした。お前の仇として生まれた事を。
お前と出会ったあの日から・・」
1000年前の事を思い出しているみたいだった。
声が切なく辺りに響く。
「だが、お前は仇である鬼に恋をした。桜鬼に。何故・・俺ではなかったのだと何度も悔やんだ」
辛そうに背中をむけて、拳を力なく握ってる。
私は自分の事で精一杯で、覗き見る様に律鬼さんの表情を確認する事しか出来なかった。
「お前にな、いっそ殺してくれと頼んだことがある」
「っ!?」
流石にその発言に驚いて見上げた先には、憂いに満ちた律鬼さんの瞳が見えた。
「お前のいない世界など・・どうでも良かった。そんな風にしか考えられなかった」
「そんな・・律鬼さん」
「だが、お前は俺を生かした。これは今世の俺にくれたチャンスなのではないか?」
「そ・・そんなのわかるわけっ」
「俺にはお前が必要だ」
力強く後ろから抱きしめられる。
身体が燃えるように熱い。
律鬼さんの手から、指から、熱が伝わる。
「俺が憎いなら殺せばいい」
「え・・?」
「お前になら、本望だ」
驚いて顔を横に向けると、そのまま唇が重なった。
「奏がすまなかった」
恐怖で声がでない。
言い返せない。身体が震えて力が入らない。
律鬼さんは何度も拭ってくれた。私の涙が零れ落ちる度。
でもそれすらも私にとっては恐怖に感じた。
「やはりお前にとって、鬼は憎い存在か」
「・・・」
「昔から変わらない事なのか?」
「・・・」
なだめる様に静かに言った。
「俺は鬼である事を呪いもした。お前の仇として生まれた事を。
お前と出会ったあの日から・・」
1000年前の事を思い出しているみたいだった。
声が切なく辺りに響く。
「だが、お前は仇である鬼に恋をした。桜鬼に。何故・・俺ではなかったのだと何度も悔やんだ」
辛そうに背中をむけて、拳を力なく握ってる。
私は自分の事で精一杯で、覗き見る様に律鬼さんの表情を確認する事しか出来なかった。
「お前にな、いっそ殺してくれと頼んだことがある」
「っ!?」
流石にその発言に驚いて見上げた先には、憂いに満ちた律鬼さんの瞳が見えた。
「お前のいない世界など・・どうでも良かった。そんな風にしか考えられなかった」
「そんな・・律鬼さん」
「だが、お前は俺を生かした。これは今世の俺にくれたチャンスなのではないか?」
「そ・・そんなのわかるわけっ」
「俺にはお前が必要だ」
力強く後ろから抱きしめられる。
身体が燃えるように熱い。
律鬼さんの手から、指から、熱が伝わる。
「俺が憎いなら殺せばいい」
「え・・?」
「お前になら、本望だ」
驚いて顔を横に向けると、そのまま唇が重なった。