君が隠した私の秘密
彼はいったい誰なのか。
私はなぜ入院しているのか。
なぜこんなにいろんな事を覚えていないのか。
たくさんの疑問が私の頭の中を支配する。
「小桜さん!」
低い声。
白衣を着たその人は、服装からしてお医者さんだろう。
「1週間ほどずっと目を覚まさなかったんですよ。」
優しい笑顔で教えてくれる先生。
それにしても、そんなに私は眠っていたのか。
「目を覚まされて本当によかったです。」
ニコッと効果音がつきそうな爽やかな笑顔。
自然と私も笑顔を浮かべる。
もしかしたら、お医者さんなら私の疑問を解決してくれるかもしれない。
私は正直に話すことにした。
「あの、先生。私、たくさん聞きたいことがあって…」
重い病気なのではないか、そんな憶測が私の頭を過ぎり、少し不安になる。
「もちろん、何でもお聞きください。こちらとしても、小桜さんの今の様態が知りたいですから。」
丁寧な口調でそう答えてくれた先生。
怖いけれど、本当のことを話して原因を教えて貰おう。
「私、本当に何も覚えてないんです。」
少し声が震える。
「名前も、なんで入院していたのかも。そして、さっきの男の子の事も。」
なぜかさっきの彼のことが気になる。
「そう、ですか」