切なくて…逢いたくて…涙
親は子どもの幸せを願う
お義父様はそう言われた

じゃあ何でお父さん…お母さんは…
無理心中なんて…

「こんな時に…突然ですけど…
私の父と母は無理心中でした
そして私だけ…生き残りました
私は…今までどうして自分だけ
生き残ったのか毎日考えて
暮らしていました
そして自分を責めて生きてきました
さっき…親は子どもの幸せを願っていると
おっしゃいました
父と母は私の幸せを願ったのでしょうか…
私は当時…父と母を止める事が出来た年齢
でも一緒に同じ道を選んだ…
間近で父と母が苦しんでいるのを見ていたから
止めることは出来なかった…」

涙が出てくる

「千秋…その事だけど…」

飛龍さんが言い出した

「千秋を調べてわかった事があるんだ」

「どういう事ですか⁇」

「ご両親は亡くなった
だけど千秋が生き残ったのは…
ご両親の最後の願いだったんだと思う
最初は一緒に死ぬつもりだった
だけど未来ある子どもを一緒に逝かすのは
ダメだと思ったんじゃないかな」

「でも…一緒に薬を飲みました」

「でも千秋が飲んだのは軽い睡眠剤だったんだ
カプセルの中身が違っていたんだよ」

嘘…そうなの⁇
お父さん…お母さん…どうして…
じゃあ私を思っていたなら生きて欲しかった…

「それは病院で調べたから間違いない
ご両親は千秋が生き残って苦労するのは
承知の上だったと思う
でも千秋の幸せを望んだんだ
生きて欲しかったんだと思う
でもこうして千秋を残してくれたから
俺達出逢えたんだよ
ご両親は亡くなったけど…
俺は感謝してるよ」

うなづいた

飛龍さんが泣いている

「幸せになろう千秋
お父さん…お母さんの分まで」

「はい」

今…私はお父さん…お母さんの
気持ちを知りました

二人の分まで幸せになります
















< 86 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop