切なくて…逢いたくて…涙
その日の夜
飛龍さんが帰ってきた

「おかえりなさい」

あまりにも嬉しくて抱きついた
ずっと逢いたかったから

私の思いとは反対に
無情にも離されてしまった

「飛龍さん…」

どうして⁇

「話をしたら行くから」

「えっ!」

どういう事⁇
帰ってきてくれたんじゃあないの⁇

「お食事は⁇」

「いい」

「お忙しいんですか⁇」

「あ〜」

ここにいるのは飛龍さんなのに
まるで飛龍さんじゃあないみたい
泣きそう…

「次は…いつ…戻られますか⁇」

涙が出そうになるのを堪え聞いた
自分でも声が震えていると思った

「悪いが…戻らない」

「どうして⁇」

何を言ってるの⁇
この家に戻らない⁇

「正直に言うよ
結婚する前でよかったよ
俺も君も」

「どういう事ですか⁇」

「婚約…解消して欲しい
慰謝料は君が欲しいだけ払う
このマンションに住んでも構わない
君の名義にしてあるから」

鈍器で殴られた様な衝撃だった

「何があったんですか⁇」

私の身体は震えていた

「君にもう愛情はないんだ
悪い…もう…行くよ」

気がつくと飛龍さんはいなかった

「飛龍…さん…」













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