そして最後の嘘をつく
コートを羽織って2人で
夜の公園を散歩する。
暗い夜の濃紺に浮かぶのは光り輝く月だ。

「思ったより寒いね。」

「出たいって言ったのは
柚さんの方なんですからね。」

はらはらと、雪が舞い降りてくる。
きりっとした美しさを身に纏う
冬空に思わず笑みが零れる。

カシャッ。

ふいにシャッター音が響いて
振り返ると、柚さんがカメラを
構えてこちらを見ていた。

「最初の1枚、いい感じだよ。」

「よりにもよって僕の写真ですか。
柚さんの方がよっぽど写真映えするのに。」

写真が撮れたからもう部屋に帰る、
と言い出した柚さんと帰り道を
辿りながら尋ねる。
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