そして最後の嘘をつく
すると柚さんはふっと笑って
僕の方をじっと見た。

「高校生くんがもし私にカメラを
プレゼントするとしてさ。最初の
1枚を撮らせてもらえるとしたら
何を撮る?」

少し考えて、それから答える。

「まぁ柚さん、ですかね。」

「ほら、そういうことだよ。」

柚さんの話は、ハッキリ言って
ぜんぜん質問の答えになっていない。
なのに、何故かそれらの言葉は
僕の心にすっと染み込んでいった。

部屋に帰って夕飯を食べると、
柚さんは帰っていく。

食器をシンクに運んでいると、
柚さんが使っていた皿の横に
小さなメモが置いてあった。

「私の連絡先。いつでも連絡してね!」

そこには、11ケタの数字がきれいな
並べられている。柚さんらしい、
細長くて綺麗な文字だった。
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