そして最後の嘘をつく
僕も昔はピアノに溺れていた。

初めは単純な興味だったのだ。

幼稚園の頃の友達がピアノをしていると
聞いて自分もやりたくなった。

母に何度も何度も頼み、お年玉と
誕生日プレゼントの前倒しとして
買ってもらった小さな電子ピアノは、
今でも実家にひっそりと置いてある。

ピアノというのは面白いものだ。
白と黒のタイルが並んでいるだけなのに
それを順番に押していくだけで
音楽を奏でることが出来るのだから。

4歳のときにはじめたピアノで、
6歳になるころにはコンクールに
出場するようになり、小学校高学年に
上がるとコンクールの優勝を総ナメした。

今だから言えるものだが、僕には
ピアノの才能があったのかもしれない。

ピアノの練習は苦ではなかったし、
ピアノと向き合っているときが
自分にとって1番幸せだったから。
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