そして最後の嘘をつく
夕食を作り終えてテーブルに
並べていると、閉まったドアの向こうから
微かに音がすることに気付いた。

耳を澄まして。

音の正体に気付き、
僕は奥の部屋へと走っていく。

明るく跳び跳ねるような旋律。

繰り返される有名な音色が
ぶつ切りにアレンジされているそれは、
かつての僕が好きだった曲で
如月さんの十八番と言われている曲。

トルコ行進曲のジャズアレンジだった。

奥の部屋のドアを勢いよく開ける。

「高校生くんってピアノ...」

「......出て。」

「え、何?」

「この部屋から早く出てください。」

僕の声のトーンに切迫したものを
感じたのか、如月さんはコクリと頷いて
素直に部屋から出てきた。
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