そして最後の嘘をつく
天才ピアニスト
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冬は好きだった。
四季のなかで1番美しいのは
冬だと思っているくらい。

気温が下がるのが嫌だというひとは
多いだろうけれど、冬という季節は
寒いから美しさが際立つのだ。

寒くなければ雪は降らず、
人々はこの白に包まれる季節の
真の美しさを知ることはなかっただろう。

僕にとって冬は、
彼女に会った季節でもある。

天才若手ピアニスト、如月柚。

ただの写真部に入っている
男子高校生の僕はあの日の夜
偶然に彼女と知り合ったのだ。

「寒く、なってきたな。」

空に手を伸ばす。
雪がはらはらと降り、僕の手を濡らした。
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