そして最後の嘘をつく
お風呂から出てきた如月さんが
鼻を動かして尋ねる。

「晩御飯なに?」

「鍋です。」

テーブルに運ぶと彼女の瞳が
きらきらと輝いた。

「「いただきます。」」

顔は知っているとはいえ
赤の他人と食卓を囲むのは
あまりに大胆なことだ。

そもそも無視すれば良かったのに
自分の発言のせいだと勝手に責任を
感じて家にあげた僕が悪いのか、

それとも後日と思っていたのに
家までついてきた如月さんが悪いのか。

目の前で美味しそうに鍋を
頬張る如月さんが不意に口を開く。

「豚肉なんか食べるの久しぶり。
高校生くん料理めっちゃ上手だね。」

「豚肉、いつもは食べないんですか?」
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