昔飼ってた犬がイケメン男子高校生になって会いにきた話
カーテンの隙間から眩しいほどの日差しが覗く。

葉月はその日差しの眩しさで目が覚めた。何だか頬にひんやりとした感触がある。

下を見ると枕が濡れているのに気づいた。

(……涙?)

 そう言えば昨日夢を見た気がする。もしかしたらその夢のせいかもしれない。

 葉月は最近ハルと父の夢をよく見る。その夢の内容は、実際に過去に起こった出来事ばかりだ。

まるで昔のことを思い出しているかのように夢を見る。なぜそんな夢ばかり見るのか、葉月にはわからない。別に見たいわけでもないのに。

 葉月は溜め息をついた。

 すると、ベッド隅に置いてあったスマートフォンが震えた。

『おはよ。昨日友達と遅くまでゲームしてて寝不足です』

翔からのラインだった。

 翔とはあの日以来、一気に距離が縮まった気がする。パンケーキはあの後も何度か食べに行った。

 出会ったばかりの頃は翔のことをただの軽薄な男だと誤解していたけど、今では弟のように可愛くて、何より一緒にいると楽しい。

だから翔と友達になれたことを今では心からよかったと思っている。

 翔とラインをしたり一緒にどこかに行ったりするのは、今の葉月の楽しみの一つだ。

 翔は実際のところ、葉月のことをどう思っているかわからないけど、自分と同じような気持ちだったらいいなと葉月は思っていた。

 でも未だに疑問なのは、初めて翔とパンケーキを食べに行った時、言いかけていたことだ。

きっと葉月を友達にした理由と同じことを言おうとしていたんだと思う。でも、本当のところはわからない。

 翔は一体何を言いたかったんだろう。

  ☆
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