昔飼ってた犬がイケメン男子高校生になって会いにきた話

お昼が終わり、葉月はオフィスにある自分の席に戻ろうと、休憩室から出た。

すると自販機の前に、どこかへ行っていたはずの月野が戻って来ていた。そしてその隣には、今年で入社して二年目の早坂蒼太が立っていた。

　早坂は営業部で月野の下で働いている。何回か会社の皆で飲みに行って、話したことがあるくらいの仲だ。

　葉月は月野を軽蔑した眼差しで見た。

月野はその様子を見て、「おい、何だよ。その目」と言った。

「月野さん、私見損ないました」

「は？　何の話だよ」

　葉月はそれだけ言って、その場から立ち去ろうとしたが、早坂が葉月に声をかけた。

「長谷川さん」

「何ですか？」

「━━いや、ごめん。やっぱり何でもない」そう言うと、早坂は下を向いた。

「あ、はい……」

「おい、長谷川」月野が呼んだ。

　月野の呼びかけを聞かなかったことにして、葉月は足早に月野と早坂の元から去った。

　早坂が何を言おうとしていたのか気になったが、何も言ってこなかったため、葉月はそれ以上気にするのをやめた。

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