和菓子が繋ぐラグジュアリー。

 「とりあえず一度ぐらい食事に行くぞ。
店まで迎えに行く。それでいいから着物を着てこい。
 何の服を持っているか分からないからな」

「は、はい……」

慌てて返事をするが、これだとデートではないかしら?
 そんな夜に一緒に食事をするだなんて……。
意識をすると心臓がドキドキと高鳴ってしまった。

その後にお店に戻るが、まだドキドキしていた。
 女将さんにそのことを話すと張り切って
さらに上等な着物を貸してくれた。
 えっ……これ本当にいいのかしら?

それに先輩のご厚意で定時より早めに上がらせてくれた。
 支度に時間がかかるだろうかと。
何から何まで悪い気がするが、とりあえず
着物に着替え支度をすることにした。

 メイクは、軽く直す程度にファンデや
リップぐらいしか持っていない。
 これでいいかなと思ったが女将さんが貸してくれた。
髪飾りもだ。

 無事にセットが終わり待っていると
華京院様が本当に迎えにきた。しかも1人で。
 そして私を見るなりまた目を見開いていた。変かしら?
オロオロしていると女将さんが私の背中を押してきた。

「さぁ頑張ってらっしゃい。花恋ちゃん。
 あなたは、とても綺麗で素敵よ」と言ってくれた。

 女将さん……。
女将さんに言われるとちょっと勇気が湧いてきた。
 すると華京院様は「行くか」と言ってくる。

私は、返事をすると華京院様のところに行く。
 すると私の肩に手を回してきた。
余計に心臓がドキッと高鳴ってしまう。

 そして一緒に歩き出した。
向かう先は、オフィスビルの54Fにある高級レストランだ。
 一流のシェフが作ってくれるらしい。

美味しいディナーは、楽しみなのだが
なんせ華京院様と一緒なのだ。
 オフィスビルの中に入ると帰り際の社員達の目が痛かった。コソコソと噂している。
 どうしよう……何?あの地味な女とか言われたら

< 11 / 82 >

この作品をシェア

pagetop