和菓子が繋ぐラグジュアリー。

 自分が凄い美人な女性だったら良かったのに。
大企業の令嬢なら何も言われなかったかもしれない。
 そう思うと身体がガタガタと震えてきた。
どうしよう……緊張してきた。

すると華京院様は、私の背中を優しくポンポンと叩いてきた。
 えっ……?振り向くとニコッと微笑まれた。
「心配するな。俺がそばに居るから堂々と歩け」と
私に言ってくれた。

 華京院様……。
その優しい言葉に余計にドキッと心臓が高鳴った。
 しかしエレベーターの中に入りドアが閉まると
パッと手を離して自分の腕を組んできた。

「こんなところでビビるんじゃない。
 お前は、俺の婚約者として堂々と振る舞え」

何故だか説教されてしまう。
 そんなことを言われましても……。
どうやらさっきのは、仲のいい恋人同士に見せるための
演技だったらしい。こちらが本心か。

うぅっ……ちょっとドキッとしたのに。
 ドSの態度を見てちょっとでも期待した自分が
悲しくなってきた。
 しかしエレベーターが54Fに着くとまた私の肩に手を回してきた。
どうやらさっきの続きらしい……。

 急に肩を回されるのは、慣れないけど
本心が分かったためさっきよりドキドキしなくなっていた。
 そしてレストランの中に入ると夜景が一望出来る席に
案内をしてもらった。
 凄い……東京が一望出来るわ。

うわぁ~と喜んでいるが華京院様は、ウェイターに
テキパキとメニューを注文していた。
 もしかしたら慣れているのかしら?
女性と食事に行くのに……。

 これだけのイケメンなのだ。それに社長だ。
そんな人がモテるのは、当然のことだし、そんな女性が
居ても別におかしくはない。
 分かっているはずなのに……何だか胸がチクッと痛んできた。

しばらくするとワインが運ばれてきた。
 注いでもらうと一口飲んでみる。
美味しい……それに飲みやすいわ。

「まぁ……なんて美味しいワインかしら」

思わず本音が出てしまった。
 すると華京院様は、クスッと笑ってきた。

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