和菓子が繋ぐラグジュアリー。
「そうだろうな。それは、女性向きのワインだ!」
「そ、そうなんですか……」
女性向きのワインをスマートに頼むなんて
やっぱり手慣れているわ。きっとそうやっていろんな
令嬢と共に食事をして過ごしたのね。
理解するほど余計に胸が苦しくなってくる。
分かっている……自分は、偽の婚約者だと言うぐらい。
グッとワインを飲み干した。
「あの……同じモノをおかわり下さい」
このモヤモヤを解消するためまたワインを頼んだ。
そしてそれを繰り返した。半分やけ酒だ。
「それぐらいにしないと酔うぞ?
帰れなくなったらどうするんだ?」
「大丈夫ですよ。その時は、
家の者に迎えに来てもらいますから」
自分は、実家住みなのでその辺は、安心だ。
いや。その安心が不味かったのかもしれない……。
やけ酒と言いながらも記憶が薄くなるまで飲んでしまった。
お酒は、意外と強い方だけど
緊張や自棄になっているせいかペースを間違えてしまう。
気づいた頃には、知らない天井が見えていた。
あれ……ここは何処かしら?
それに知らない天井に周りの風景……部屋?
起き上がろうと身体を横にしようとすると華京院様が
何故か隣に寝ていた。えっ……華京院様?
慌てて起き上がるとそこは、ホテルのスイートホームだった。
ま、まさか……。
私は、自分の身体を確かめてみた。しかし
何も着ていなかった。生まれた姿のままだ。
それだけではない……頭痛もするが下半身も痛い。
これは、もしかしなくても華京院様と一夜共にしてしまったの!!
ど、どうしたらいいのかしら?
婚約者のふりのはずなのに……その華京院様と寝るなんて
普通に考えたらどうしようもない過ちだ。
いくら酔っていたとしてもだ。
私は、慌てて立ち上がると着物を探した。
気だるい痛みが走るが、そんなことを思っている場合ではない。
脱ぎ散らかされた着物と帯。
急いで自分で着付けをすると身だしなみも気にせずに
私は、部屋から飛び出してしまった。