和菓子が繋ぐラグジュアリー。

 これは、何かの間違いよと思いながら。
自宅には、迎えに来てもらうのも悪いからと
タクシーで帰った。

 その後、華京院様がどうなったか分からない。
 また改めて支度をしてお店に出勤したのだが
あの事が頭から離れなかった。ど、どうしよう。
 そのまま帰ってきてしまったけど、怒っているかしら?

散々酔っぱらっただろうしご迷惑もかけたかもしれない。
 いや、それよりもだからと言って何で?
華京院様も何故その気になったのかしら?

普通に考えても介抱されるのは仕方がないとして
 だからと言って好きでもない人と寝る?
こういう時は、相手を気にしない方なのかしら?
 悩みに悩んでいると女将さんが声をかけてきた。

「花恋ちゃん。昨日のデートどうだったの?
 上手く進展があったのかしら?」

 進展……!!
その言葉にビクッと反応してしまった。
 進展どころか、大きなミスをしてしまったかもしれない。

「あら。その顔は、何かあったのね?」

「女将さん……」

私は、泣きたい気持ちを必死に押さえながら
事情を話した。するとあらあらと驚いていた。

「それは、凄い進展ね。でもいいんじゃないかしら?
 婚約者なら身体の相性も大切だし」

「いえ……あくまでもふりですので。
 それに食事だけのはずでしたし、カモフラージュの」

 あくまでもちゃんと恋人同士に見てもらうための
デートに過ぎない。
 食事だけの約束だったはずなのに酔って失態を犯すなんて……。
穴があったら入りたい気持ちだわ。

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