和菓子が繋ぐラグジュアリー。
「まぁ人の出会い方なんて人それぞれだから
仕方がないわよ。私も若い頃は、主人と色々あったもの」
「女将さんがご主人と……?」
どんなことがあったのかしら?
気になって聞こうとしたら突然電話が鳴った。
女将さんは、あらあらと言いながら話を中断して
電話に出てしまう。注文だろうか?
しばらくしたら元に戻ってきたが。
「噂をすれば何とやらね。今、華京院様から
注文があったわよ。あなたに持って来いですって」
えぇっ……まさかの呼び出し!?
これは、注文より文句を言いたいだけだわ。
どうしよう……絶対に怒っているわよ!
そのままにして逃げてきたから……。
「あの……女将さんが代わりに」
「あら、そんなことしたら余計に怒らすわよ?
それに私は、これからお店があるからダメね」
女将さんからドキッパリと否定された。
ですよね……やっぱり。うぅっ……行きたくないのに。
だけど呼ばれた以上は、行かないとならない。
私は、嫌々身支度をするとオフィスビルに向かった。
今回は、自分の家の着物を持ってきたのでそれを着る。
そして着くと前と同じようにエレベーターに乗り
社長室に恐る恐る入って行くと……。
凄く眉を寄せながら腕を組んで座っていた。
うわぁ……完全に怒っているわ。
「あの……申し訳ありませんでした」
怖いけど私は、頭を下げて謝った。
しかし社長は「何故謝る……?」と言ってくる。
「それは……華京院様を置いて逃げてしまって」
「逃げたと言うな。俺が女に逃げられたみたいだろ」
いや……似たようなものだが。
そんなことよりも機嫌が悪いし怖いから
早く届け物を渡して戻りたい。しかし華京院様は、
ため息を吐くと私の方を見て
「それよりも何故居なくなった?
アレは、お前の同意の上だぞ。
甘えて誘ってきたのは、お前からだぞ?」